原価計算は難しいというイメージを持たれる方が多いと思われますが、その理由は、間接費の配賦に
あると思われます。
材料費や外注費など、製品の製作と直接的に結びつくコストについては、原価計算用のソフトを導入し、
製品毎に管理番号を設けてコストの計上・集計を行うことにより、適正な原価計算を行うことができます。
しかし、工場の人件費・経費といった間接費については、製品の生産と直接的に結びつけることが難しい
ため、一定の基準を設けて、製品ごとにコストを割り振る必要があります。これを「間接費の配賦基準」と
言います。
また、工場の間接費を製品別に適切に配賦しなければ、適切な原価計算・損益管理を行うことができません。
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弊事務所の所長が、メーカーの工場経理部門で培ったノウハウにより、御社の実情に沿った原価計算方法をご提案させていただきます!!
☆弊事務所長が設立しました「合同会社原価計算」のホームページもご覧いただけましたら幸いです。労務費・製造経費の配賦基準・配賦レート – 合同会社 原価計算 (genkakeisan.com)
ステップ1~間接費の部門別集計
工場で発生した間接費を製品別に配賦するためには、まず最初に、製造部や購買部などの部門別に発生した
費用を集計する必要があります。
また、工場の各部門を、製造や建設作業を直接行うかどうかにより、間接部門(補助部門)又は直接部門に
分けます。
次に、間接部門(補助部門)で発生した費用を、直接部門に配賦することにより、間接費を直接部門に集約
します。配賦の基準については、直接部門の人数や、間接部門からの用役提供割合などが考えられます。
なお、工場の経費のうち、工場全体で共通的に発生し、各部門に割り振ることが難しいものが多い場合には
「共通費」又は「共通経費」というダミーの部門を設定して経費を集計し、各部門の人数等で按分すると、
より適切な部門別の経費管理が可能となります。
間接費の部門別集計を行うことのメリット
・各部門ごとの経費の発生状況を把握することが可能となり、経営資源の投入状況が明らかとなる。
・予算管理を部門ごとに行うことが可能となり、経費管理を行いやすくなる。
ステップ2~間接費の製品別への配賦
間接費を製造部などの直接部門へ集約したら、次に、製品又は工事別に間接費を配賦し、製品又は工事別の
コストを明らかにします。
作業日報を作成し、どの作業に何時間工数が発生したのかを記録し、毎月など一定期間ごとに作業番号又は
工事番号毎の工数を集計します。
次に、1時間当たりの間接費の単価(以下、アワーレートと言います)を計算し、各作業番号又は工事番号別
の工数とアワーレートを掛け算し、間接費を割り振ります。
なお、アワーレートにつきましては、各月ごとの実際レートを使用すると、間接費の増減要因が、工数の増減が原因なのか、アワーレートの増減が原因なのか分かりづらくなる場合があります。
そのため、月次決算では予定(標準)アワーレートを使用し、四半期又は期末に予定(標準)アワーレートと
実際アワーレートとの差額を原価差額として配賦する方法も考えられます。
作業日報を経営改善に活用するためには
作業日報を作成する際に、日付や工数だけでなく、作業の内容(加工・組立)などを合わせて記入することで、製品を製作するために必要な工数を、作業の内容ごとに集計することができます。
作業工数が多く、間接費の負担が大きくなっている製品について、作業工数の多い作業内容を確認することにより、改善すべき作業方法を発見するきっかけにもなります。
作業方法を改善するために、職場ごとのQC活動(小集団活動)を行い、メンバーがそれぞれ意見を持ち寄り、改善策を生み出すことも有効であると考えられます。
製品の組立・加工作業が自社内、外注先等の両方で行われている場合
企業様によっては、製品の利益率などを考慮し、組立・加工作業を社内で行う場合と、外注や請負先に委託している製品が混在している場合もあると思われます。
このようなケースでは、工場の間接費の配賦基準を直接作業員の作業工数のみとした場合、組立・加工作業の大半を外注や請負先に委託している製品については、資材発注コストや品質管理コストの負担が実際よりも低くなりすぎることも考えられます。
この対策としては、購買部門や生産管理部門などのコストの一部について、配賦基準を材料の購入価格や発注回数、取扱数量などとすることも考えられます。